1. HOME
  2. ブログ
  3. 相続
  4. 【失踪宣言】相続税申告期限に影響はある?

Column

コラム・記事

相続

【失踪宣言】相続税申告期限に影響はある?

【ACCESS税理士・不動産鑑定士事務所】です。東京都中野区を中心に、各種相続問題や不動産関連のご相談、ご依頼を承っております。

相続が発生しても、相続人の中に行方不明の人がいると、遺産分割協議ができず、相続の手続きを進めることができません。このような場合に利用できる制度に、失踪宣言があります。今回は、この制度の概要や失踪が認められるまでの流れ、相続税申告期限との関係について紹介します。

〇失踪宣言とは?

失踪宣言とは、行方不明者の生死不明の状態が一定期間継続した場合に、法律上その者を死亡したものとみなす制度です。この制度が適用される失踪には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。
普通失踪は行方不明者の生死が7年間確認できない場合に、特別失踪は天災など生命の危険を伴う危難に遭遇し1年間生死不明である場合に、利害関係者の請求によって認められます。そして、普通失踪は生存が最後に確認された時から7年間の期間満了時に、特別失踪は危難が去った時に、それぞれ死亡したものとみなされ、相続などの法的手続きを行うことができます。

〇失踪が認められるまでの流れ

家庭裁判所に失踪宣言の申し立てをすると、まず家庭裁判所による聴き取りなどの調査が行われます。
この確認が終わると、行方不明者自身や行方不明者の生存を知っている人に対して、一定期間内(普通失踪は3か月、特別失踪は1か月)に届け出るよう官報などにより公示催告されます。
そして、その期間内に届出がなければ、家庭裁判所の審判により失踪が宣言されます。
このように申し立てをしてから失踪が認められるまでには、通常は半年以上の期間がかかります

〇相続税申告期限との関係

こうして行方不明であった相続人の失踪が認められると、他の相続人が遺産分割協議など相続手続きを進めることができますが、相続税の申告期限に影響はあるのでしょうか。

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付しなければならず、期限を過ぎるとペナルティとして加算税や延滞税が課税されることがあります。この期限の延長は原則として認められていませんが、例外として相続人の人数に変更があった場合など特別な事情がある場合のみ、最大2か月の延長が認められることがあり、相続人が失踪宣言を受けた場合も該当します。

ただし、相続人の失踪の状態が一定期間に満たない場合は、失踪宣言を申し立てることはできません。また、申し立てをしてから失踪が宣言されるまで通常半年以上かかりますので、申告期限を延長しても相続税の申告期限に間に合わない場合があります。
そこで、このような場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、行方不明者の代理として相続の手続きを進めて申告期限内に相続税を申告しておき、失踪が確定した時点で修正申告するのが現実的といえます。

このように、失踪宣言は、相続人の中に行方不明になっている人がいる場合に、相続手続きを進めるために必要になります。ただし、相続税については、失踪宣言を受けると申告期限の延長は認められますが、失踪宣言に要する期間を考えると、まずは不在者財産管理人を選任して遺産分割協議を進め、期限内に申告・納付することをおすすめします。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事