【相続税対策】孫を養子にするとどうなる?
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相続税対策では、生前贈与がよく知られていますが、縁組によって孫を養子にする方法もあります。今回は、この概要とメリット・デメリットについて紹介します。
〇孫を養子にすると法定相続人となる
法定相続人には順位が定められていて、配偶者は常に相続人となり、子が第1順位、直系尊属が第2順位、兄弟姉妹が第3順位となります。孫は、子が死亡したときなどに代襲相続する場合を除いて、原則として相続人にはなりません。
そこで、孫を養子縁組すると、孫は養親の子となりますので、養親を相続することができるのです。
では、孫を養子にすると、相続税上どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。その前に相続税の計算のしくみを確認しておきましょう。
〇相続税の計算の流れと計算式
Step1 相続人の課税価格の合計額
「取得した財産の価格※-(債務+葬式費用)+生前贈与加算」
※生命保険金や死亡退職金は500万円×法定相続人の数まで非課税
Step2 課税遺産総額
「課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」
Step3 法定相続人の取得金額
「課税遺産総額×各人の法定相続分」
Step4 法定相続人の相続税の総額
「各人の取得金額×税率(10%~55%)」
Step5 相続人の相続税額
「相続税の総額×(各人の課税価格÷課税価格の合計額)」
Step6 相続人の納付税額
「各人の相続税額+相続税額の2割加算-各種税額控除」
このように相続税では、遺産をどのように分割したかにかかわらず、法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して相続税の総額を計算し、次にその総額に基づいて各相続人が取得した遺産の割合に応じて相続税額を算出します。
〇孫を養子にするメリットとデメリット
上記の相続税の計算のしくみ(下線参照)から、孫との養子縁組には次のメリットとデメリットがあります。
〈メリット〉
相続税では、生命保険金などの非課税枠(Step1)や基礎控除額(Step2)があり、法定相続人が増えるほど課税遺産総額が減少します。また、法定相続人が増えると各人の法定相続分の取得金額が減るので、これに乗じる超過累進税率も下がることがあります(Step4)。このように法定相続人の数が相続税の計算に影響しますので、相続税の総額が減少し節税につながります。
ただし、相続税の計算で養子を法定相続人に含められる数には、制限(実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで)があります。
〈デメリット〉
配偶者、子、父母以外が財産を相続した場合は、その納付税額には相続税額の2割が加算されます(Step6)。養子となった孫は、原則として2割加算の対象となりますので、納付税額が増えることがあります。
このように、孫を養子にすることは相続税額を減らす効果がありますが、納付税額が増える場合もあり、相続税対策として有効かどうかはケースバイケースです。また、明らかに節税目的の養子縁組と認められる場合は、法定相続人の数に含めることができないとされています。そこで、孫との養子縁組は、これらのことをふまえて慎重に検討することが必要です。
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