相続人と連絡が取れない場合
人生にそう何度とない相続。
相続手続きに直面した際には予期せぬトラブルもつきものです。
今回はそんな予期せぬトラブルの1つ…。
『相続人と連絡が取れない場合』について解説したいと思います。
家族の形が多様化した現代では、親戚付き合いの少ない家庭も多くあります。そんな中、問題になりがちなのは『他の相続人と連絡が取れない』『自分以外の相続人と面識がない』
というようなことです。この場合、1番厄介な問題は遺産分割協議です。
何がどう厄介なのか、下記では①遺産分割協議とは②遺産分割を放置した場合のリスク③連絡が取れない相続人がいる場合の相続の進め方とその注意点の3つにまとめて取り上げます。
①遺産分割協議とは
遺産分割協議とは相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。この協議は相続人全員が参加して協議を行わなければなりません。相続人が一人でも欠けている、もしくは連絡が取れない場合には遺産分割協議は無効となってしまいます。つまり、相続人が1人でも欠けていると遺産分割協議を始めることすらできません。遺産分割協議がスムーズに進まないという状況は、相続人の方々の心理的・身体的負担となります。
② 遺産分割を放置した場合のリスク では、相続人が揃わないからと言って遺産分割をせず、そのまま放置した場合どうなるのでしょうか。
1、 無申告加算税と延滞税
相続税の申告を期限までにしなかった場合無申告加算税が課税されます。また、申告期限までに相続税を納めなかった場合延滞税が課税されます。申告期限までに遺産分割を終えられない場合、遺産は未分割ということで申告をすることができますが、各種特例をできなかったり、遺産分割を終えた後に再度申告が必要になる場合もあり、相続人に不利になったり手間がかかったりすることがあります。
2、不動産を活用できない
相続人の共有状態になり、全ての共有者の合意がないと建て替えや売却ができなくなります。
上記のような状況は誰もが避けたいものですね。日頃から対策を考えておきましょう。
③ 連絡が取れない相続人がいる場合
どうしても相続人と連絡を取ることができなかった場合は、例として下記のような対応が必要になります。
1、不仲で連絡が無視される場合
家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てることができます。調停を申し立てると家庭裁判所から相手の住所に呼び出し状が送られます。そうすることで自分から相手に連絡を取らずに話し合いを行うことができます。それでもなお裁判所に来ない場合や話し合いが成立しない場合は、遺産分割審判に移行し裁判官が遺産分割方法を指定することになります。
2、行方がわからない場合
戸籍の附票で行方がわからない相続人の住所地を確認することができます。ただし被相続人を筆頭者とする戸籍に入っている場合や、未婚で自分と同じ戸籍に入っている場合に限り戸籍の附票を確認することができます。
住所地を特定してもその住所地にいない場合、不在者財産管理人という制度を利用するか失踪宣告を申し立てることで、遺産分割協議に参加させる必要がなくなります。
ただでさえ複雑と言われる相続。生前のうちに専門家に相談しておくことが大切です。
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